ゲームとかの話

ゲームを中心としたヨタ話 ……だったんだけど、アニメとかプロレスとかの話が増えてきました。昭和生まれオタク話ブログってことで。

【銀英伝】何故アスターテで同盟軍が外線戦術を使用したか問題 #銀英伝

とりあえず、藤崎版銀英伝を読んでいるんですが。

 

英伝語りの劈頭、アスターテのお話。

 

3個艦隊で包囲殲滅を志向した同盟軍に対して、ラインハルトが各個撃破戦術でこれに臨み、2個艦隊までをも撃破したけれど、指揮権を継承したヤンが残り1個艦隊を率いて奮戦、辛くも星系を維持し得た、というアレですね。

 

バージョンによって語り口に差はあれど、この戦いを期に、ラインハルトもヤンもお互いのことを認め合うに至る、決定的な直接対決のその初戦にあたる戦いにあたります。

 

ですが、この戦い。

一見して、決定的に不自然なことが一つありまして。

同盟軍が、なぜ戦力分散の愚を犯してしまったのか、という点であります。

 

アスターテは不期遭遇戦ではありません。

同盟軍は、侵攻してきた帝国軍を迎え撃つに、敵に倍する戦力を準備して、この迎撃を目指しました。

これは、戦略上は極めてうまく対処したと言えるでしょう。しかし、戦術的には大敗を喫してしまった。同盟滅亡の端緒ともいえる結果をもたらしてしまったわけです。

 

同盟軍とて、軍事的無能な集団ではあり得ません。近代的な軍制を持っており、億単位の将兵を抱える軍事組織を運用できている。士官学校を始め、教育・研究機関も持っており、一定規模の予算を持って運営されているわけです。

であるならば、接敵した時点で、各艦隊が相互支援の難しい態勢たることを余儀なくされた原因が、いずこかにあったと解するべきでしょう。

本稿の趣旨は、その原因について、考察を試みてみたいというものであります。

 

第1回にあたる今回のテーマは、論点の洗い出しにあります。

なぜならば、現段階で本稿の著者が結論めいたものを導出できていないからであります。

 

 

疑問 : 宇宙戦における分進合撃策を採る積極的な理由は何か?

分進合撃策とは、戦略的に複数の進撃路に戦力を分散し、想定戦場に適時的に集中させる戦略を言います。

史上、分進合撃の採用例には暇がありません。日本の戦国時代における、著名な戦いだけでも、以下のような例が挙げられます。

桶狭間合戦における、今川軍の戦略
関ケ原の役における、徳川軍の戦略

前者は織田信長による斬首戦術、後者は真田昌幸による拠点防衛戦術によって、破綻させられています。

では、なぜ圧倒的な戦力を要する陣営が、戦力分散の愚、各個撃破のリスクをを犯してまで、進撃路を分散させたのか、という点です。

 

genzui.hatenadiary.jpこれについては、先日、軽く論考を試みましたので、当該記事を参照いただければと思います。

 

さて。ここでお気づきかと思いますが、分進合撃策の目的は、陸戦における行軍長径の増大がもたらすデメリットの解消にあるわけです。

恒星系間戦争である、銀英伝的戦争の世界において、分進合撃策に、是とする合理性が存在し得ないのではないか?

これが、一見して我々が感じる疑問でありましょう。

 

分進合撃策によって解消したいデメリットが、そもそも宇宙戦争においては存在しないのではないか?というわけです。

 

陸戦であれば、地形上の「街道」という要素が重要なのは理解し得るでしょう。

しかし、海上・航空・宇宙空間における輸送ルートの自由度を考えるに、進撃路が限定されるかされないか、という点において、分進合撃策を採る積極的理由が存在するとは考えにくいのです。

 

3次元空間における戦術論は、20世紀の戦争において、大いにその発展をみました。
だからこそ疑問に感じるわけです。

「航路を自由に設定できる戦争において、『補給線』という概念が陸戦におけるそれと同等に扱われてよいのだろうか?」という疑問であります。

 

英伝から、戦術・戦略論に興味を広げた人間としては、避けては通れないテーマと言えるのではないでしょうか。

 

 

 

 

一応、補足しておきますが、本稿では、田中芳樹の考証が甘いとか、そういう批判をする意図は全くありません。銀英伝に描かれていることはすべて史実であり、我々が目にできる物語は、すべてその叙述のバージョン違いなのである、という前提に立って書かれていると思っていただければ。